昔・約束・クリスマス

約束

駅前はクリスマス一色で、あちらこちらに『Merry Christmas』の文字が光っている。

私は今年も、駅前のツリーの前にいる。

「寒いなぁ…」

マフラーに顔を埋めながら、呟く。

吐く息は白く、やがて見えなくなる。

ツリーを見上げると、これでもかと言うほど光輝いている。

「綺麗…」

自然と口から出た言葉。

毎年見ているはずなのに、毎年そう思う。

「……」

少しして、私はまたマフラーに顔を埋めた。

「今年も、来ないのかな…？」

小さく呟いた言葉は、マフラーに遮られ、誰にも届くことなく消えた。