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その人はそんなあたしの態度なんて気にしないかのようにまた笑って。
あたしの隣に座った。
―ドキン…ドキン…
何これ…
あたし、めちゃくちゃドキドキしてる…っ
「俺、佐伯 悠紀(さえき ゆき)よろしく」
「氷室 梓ですっ…よ、よろしく」
柄にもなくかなり緊張してるあたしはまともに悠紀くんを見ることすらできない。
それでも悠紀くんはあたしと会話を続けてくれた。
学校のこと、家のこと、趣味のこと…とにかくいろいろ。
「よしっ、次はカラオケ行こう、カラオケ!」
あたしの緊張もだいぶほぐれたところで誰かがそう提案して。
カラオケに行くことになった。
カラオケかぁ…
悠紀くん行くのかな?
「ねぇねぇ」
考えながら店の外に出ると悠紀くんに手招きをされ。
あたしは悠紀くんの側に行った。
「俺さー…カラオケあんま好きじゃないんだよね」
「え…行かないの?」
「あんまり行きたくないからさ、2人で抜けない?」
へ…!?
ふ、2人って…あたしと悠紀くん!?
これって、チャンスじゃん
あたし悠紀くんともっと話したいし…
遠慮がちに頷けば悠紀くんはにっこりと笑い、あたしの手をとって夜の街を駆け出した。
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