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辺りにはカレーの匂いが立ち込めていて、空になっていたお腹が求めるように大きく鳴いた。
誰も聞いていないと分かっていても、恥ずかしくなる。
僕はお腹を押さえながら足早に階段を降りた。
「おせぇぞ!」
司兄ちゃんは二つのスプーンを両手に持ち、座るように視線で促している。
小さい子供のように目をキラキラさせながら、片方に持ったスプーンを渡してきた。
「有難う…いただきます!」
スプーンを受け取って、手を合わせ、カレーを口に運ぶ。
「ん?‥…ちーちゃんの味」
口の中に広がる味はいつも食べてるちーちゃんの味にそっくりだった。
ちーちゃんは何でも凝り性で、カレーも市販のルーを使わず何種類かのスパイスから作っているはず。
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