いきなりピンチ!

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「ジジイ!」 自分が発した声で目が覚め、トウヤは慌てて自分の口を片手で塞いだ。 さっきまで自分が寝ていたことを、分かっていたのに… 「馬鹿か俺は!」 小声で自分を罵る。 直ぐに気持を落ち着かせて辺りを油断なく見渡す。 ここは、『ホムラ』国に隣接する森の中だ。 ただ、この森は常に霧が立ち込めていて、視界が悪いうえに自殺の名所として有名な為、誰も立ち入る事がないのである。 今も霧が立ち込めていて、2~3m先からは回りが全く見えない。 任務でなければ、トウヤも絶対に入りたくない。 「あ~クソッ! 何でこんな事になったんだよ!」 警戒を解いてはいけないのは分かっているんだが、こんな非常事態に冷静でいろというのが、無理な話しだ。 「…!」 不意に背筋に冷たいものが走る。 とっさにトウヤは走り出した。 トウヤが走り出したと同時に、背後で木が裂ける音が響く。 「クッ! もう見つかったのか!」 当たり前だ。 隠れている人間が大声で叫べば、誰だって気付くだろう。 トウヤは、走りながら腰に付けていたホルスターから銃を抜いた。 全体が銀色に輝き、グリップ部に埋め込まれていた宝石が、淡く輝きだす。 自分の中の魔力が、銃へ流れ込んでゆくのが分かる。
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