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大陸の東に位置する小国『ホムラ』
魔科学においても、国際水準以上の技術力をもち、人口もそこそこ多い。
特に、ホムラは科学に力を入れた研究をしていて、魔力を持たない人や、魔力を持っていても明らかに少ない魔力しか持たない人にとっては、ホムラは憧れの国となっている。
そんなホムラが、他の国に負けないと豪語するもの。
それが『兵力』である。
ホムラは魔力を持たない人に対して、魔力を補う物として、対魔力武器を作成し、提供している。
トウヤの持つ魔力をチャージして撃つ魔銃もその副産物として作り出された武器である。
しかしながら、あの魔銃も魔力が一定水準以上無いと使えない。
では、魔力が無い人には何を魔力の変わりに代用するのか。
早い話が『火薬』を使用した武器である。
この製造に成功しているのが、シルメリアとホムラだけなのだ。
だからこそ、今のようにシルメリアが全世界に対して宣戦布告した現状ではホムラはシルメリアに対抗する切札となり、シルメリアからの攻撃が最も危ぶまれている国でもある。
そこで、ホムラがシルメリアへの監視・偵察を主な目的として結成した組織が『特殊部隊・通称(カエン)』と呼ばれる部隊である。
その組織には、ホムラの中でも上位に入る実力者が集められており、トウヤも何気にエリートの一人なのだ。
まぁ、トウヤの場合は少々性格に難があるのだが…。
何にせよ、トウヤとミリィは今、特殊部隊・通称(カエン)の本部入口にいる。
「結構大きな建物ねぇ~。
ここが貴方の家?」
ミリィが、地上八階建てのビルを見上げながらトウヤに尋ねる。
どこかワクワクしているミリィは、すっかり観光気分だ。
一方のトウヤは、暗く沈んだ面持ちで、下を向いたままミリィに対して返事もしない。
無理もない。
本当なら、森からカエン本部まで一気に瞬間移動出来るのだが、それをミリィが頑として聞き入れず、何とかカエン本部の周辺まで瞬間移動した後は、カエン本部に行かずに、ミリィに脅されるまま、町を案内して回っていたのだ。
その間、ミリィはあの鎧姿である。
恥ずかしいにも程があると言うものだ。
何とか途中で、服を買い。
今は白いロングスカートにピンクの長袖セーターに着替えている。
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