52027人が本棚に入れています
本棚に追加
/590ページ
「まぁ…、何だ。
出会ってから、そんなに時間たって無いんだよ。
ミリィとは、本当に偶然出会って、スピード結婚ってやつかな?」
ぎこちない笑い声をあげながら、トウヤが答えていると、ミリィがさらにフォローしてきた。
「つい最近になって知り合ったのよ。
この戦争のせいで、私は一人ぼっちになったの。一人で怯えていたら、彼が来て私に優しくしてくれたんだ!」
頭にハートマークが浮かびそうな顔で、言うミリィにトウヤはもう笑うしかなかった。
女って怖いよな。
あんなすました顔で平気で嘘付けるんだもんな。
それとも、ミリィだけかな?
「まぁまぁ。ご馳走さま。シェインも早くいい人見つけなよ!」
タエばあちゃんが、トウヤとミリィを冷やかしながらシェインに言った。
シェインも、顔は悪く無いのだが、如何せん筋肉ダルマの大男で、抜群の威圧感である。
女性は近付き辛いだろう。
シェインの苦笑いしている顔が、トウヤには痛々しかった。
「ア~ッ!
やっと見つけた!
トウヤ~。結婚したってホント~?
ホントなら、殴らせて~!」
棗が、爽やかな声で、物騒な事を言ってくる。
「棗さん。後半の殴らせては何故に?
俺が何をしたのかな?」
トウヤには、殴られる理由が分からない。
こちらに迫ってくる棗から逃げようと、椅子から立ち上がろうとしたが、いきなり両肩を誰かが押さえつけてきた。
「いけませんわよ。逃げたりしたら、棗ちゃんが可哀想ですわ。」
いつの間にトウヤの背後に居たのか。
ルナが、妙に低い声を出しながらトウヤの両肩をガッシリ掴んでいた。
何?何で?どうして?
トウヤは、必死にまわりに助けを求めたが、シェインは苦笑いを浮かべながら「巻き添えはゴメンだ」と言い。
ミリィとタエばあちゃんは、ナイフとフォークの使い方をレクチャーしていて完全に無視している。
「何でじゃ~~~!」
本日、何度目かも、もう分からないトウヤの絶叫がこだました。
最初のコメントを投稿しよう!