旅の途中

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    駅のホームにひとり  駅弁と新聞を買い込んで  旅に出ようと思った  支度などなんにもないのに    行きたい場所などないけど  たぶん海が見たいと思う  人生が嫌になった訳ではない  ただ、ひとりになりたいと思っ た    発車のベルに、胸が踊る  昨日の事は忘れてしまった    向かいの少女が  二人笑って話してる  僕の事など景色の様に           列車が駅に着くたび  僕は昔の事を思い出した  幼い時、父や母にしかられた事  初めて恋をした時の事    そして、いつの時だったか  君に出会って歩き始めた  同じ道を、同じ速さで  そして君はいつも笑顔だった    終着駅で飛び降りて  ひとりで海を見たなら  明日の朝  駅弁と新聞を買い込んで  君の住む街に帰ろう    君と歩くため
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