第三章

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  「大丈夫?痛い?」 「痛いよ、シリス……痛い」 「ごめんね、僕もその痛み貰うから」 「うん……」   時々、キリスは右目が痛んだ。 痛くなると泣きながら僕に抱きついてくる。 母さんがまだいた頃は母さんに助けを求めたけど、母さんが死んでからは二人で痛みを分け合った。 生まれたときと逆にキリスは左目を閉じ、シリスは右目を閉じておでこを合わせ抱き合って痛みを分け合った。 そうやっても僕の右目が痛むことはない。 ただ、抱き合ってると自然とキリスは泣き止んだ。   「ありがとう、シリス」 「もう大丈夫?」 「うん。シリスがいるから大丈夫」 「僕もキリスがいれば大丈夫」   お互いの体温に安らぎを感じた。 双子だから体温が同じなのかわからないけれど温かくも冷たくも感じないその体温に。 ただ安らぎを感じた。  
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