第1章

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  私は涙をこらえて 母のもとに向かった     『お母さん‥‥  私ね  今日ね‥‥』     『ごめんね。  いま忙しいから  また後でね』     『‥‥‥はい‥‥』     大好きなクマのぬいぐるみを   強く強く抱きしめた     とぼとぼ部屋に戻って   ボロボロこぼれる涙を 一生懸命ぬぐったのを 今でも覚えてる       いつの間にか   毎日 夜になると 涙が自然に 出てくるようになった     その度   心の中で   呪文のように唱えた     ‥‥泣いちゃダメ‥‥   ‥‥泣いちゃダメだってば‥‥    
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