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ベンチに倒れ込んだ青年に、俺は情報誌を落とし、慌てて駆け寄った。
「おい、大丈夫か?」
軽く揺すって起こすと、青年がよろよろと目を開ける。
「あ……すみません。……君は?」
当然だったのだが、急に訊かれた俺は、変に慌てて答えに詰まった。
「あ、えっと、俺は織夜。織夜明津」
「――織夜?」
ぼんやりとした青年が、俺をじっと見詰める。
関わってしまった手前、どうしたモノかと悩んだ俺は、取り敢えず周りを見回した。
「なんか飲める? 少しは楽になると思うけど?」
「……お金が無い」
「缶ジュース一本くらい、俺がおごってやるよ」
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