聖 夜

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「ちぇっす!」 「はぶっ!」  早足で道を歩いていた僕の背中が突然蹴り飛ばされ、僕は道端の雪だるまと熱烈なハグ! 冷たいっ! おまけに雪だるまとキッス! これまた冷たい!  僕はがばっと雪だるまから離れて、後ろの犯人を睨みつける。 「……僕は実はSなんだぞ」 「……いや、そういう問題じゃないんじゃない? もっと普通に怒って欲しかったんだけど。というか、はぐれるなっ!」  理不尽なパンチが今度は僕の顎を襲う、瞬間、僕は空を舞った。見事なアッパー、相方、君なら世界を狙えるよ。 「土俵の世界のね」 「意味が分からないけど馬鹿にされてる気がする」  有無を言わさず、今度はお腹にパンチ。肝臓付近の内臓が可愛くない悲鳴をあげる。  痛くない痛くないと心の中で繰り返すものの、肉体が痛いものは痛いと反発、結論、すごく痛い。 「さ、馬鹿してないで仕事行くわよ」 「うん……。もともとは君がはぐふぅっ!」  アンタがはぐれたんでしょ、ともう一発パンチがお腹と感動の再会。僕が泣く。  というか、反論を許さない肉体的攻撃は良くないよなぁ。  でも、真っ赤な鼻を見る限り、僕を必死に探してくれていたみたい。肩に雪も微かに積もってるし。それなのに、僕はコンビニ。少し、僕が悪い気がした。
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