忘れ傘

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私は左利きだったために、一年生で先輩とダブルスを組むことになり、他のメンバーからの冷たい目に耐えなければいけなかった。 そんなときでも入浴剤と一緒にじっくりと自分を見つめて、自分を保っていたから、三年間レギュラーを守ることができたのかもしれない。 私、そんな強くないの。 知ってるわ。だからそんなに頑張らなくてもいいのよ。 あなたはあなたなんだから。 そんな言葉を、泡と共に弾けさせていた。 そんな風に、いつもなら私はイヤなことの発散に入浴剤を入れていたけど、今日はいつもと違っていた。 久しぶりに、いや、初めてかもしれない。今日は良いことがあって入浴剤を入れたのだった。
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