お姉さん

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 私、高橋鈴は中学二年生。弟は四つ下。小学生には上がったけど、やっぱり手の掛かる年頃。  私は時折、高橋家の子供じゃないのではと思うことがある。だって、お母さんもお父さんも、私でなく弟を可愛がる。私がお姉さんだから、  「もう小学生にもなったんだから、甘えてないでお姉さんらしくしなさい」 と、口煩く言われる。分かってはいるものの、こう差が激しいと嫌になる。私が小学生の時はここまでしてくれたか、とかね。でもやっぱり、わがままは言えない。一生懸命手伝いをしたり、言われたことをきちんとやれば、お母さんもお父さんもきっと私を認めてくれる。  そう、信じていたから。  小学校四年生の時。その頃もまた、同じように弟に嫉妬していた。今より手が掛かって、二人ともてんてこ舞い。  いつものようにお父さんと弟と三人でお風呂に入ろうとした時に、お母さんが私を呼んだ。大きなプラズマテレビの前にしゃがんで、私を見つめるお母さん。とても真剣な顔をしていた。 「今まで黙ってたけど、あんたは高橋家の子じゃないの」 こう言われていたら、納得していたかもしれない。だけど内容は違って、離婚するというものだった。そして、どちらにつくかという話。二人はお母さんと東京に残った。  お父さんが実家に帰る日。その日は日曜日で、朝も早かったから、見送ることが出来なかった。起きてはいたけど、顔を合わせることが、何故か出来なかった。  私がお姉さんだから、弟を守るのは私だし、お母さんを守るのも私なんだと思った。まだ小学生だから、難しいけど。
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