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私は昔から、お母さんの手を煩わせることが多かった。幼稚園の時も小学生の時も、忘れ物が多く、いつも怒られていた。それは中学に上がっても変わることはなかった。
「どうして私は怒るのに弟のことは怒らないのっ!?」
「まだ小さいし、あんたはお姉さんなんだから見本にならなきゃ駄目でしょ!!」
お母さんが怒るときは手は上げない。大抵ものが飛んでくる。それも、壊れたら困るということで、かなり硬めのもの。お母さんにひっぱたかれたのは幼稚園の時が多分最後で、痛くて泣けなかったのを覚えてる。
『あんたを叩く手も痛いんだよ』
なんて言われて、だけど私としては耳が痛くてそれどころじゃなくて。
別に、怒られるからっていう理由で自分はどうのって言う訳じゃない。離婚してから二年後に、おばあちゃんとおばさんが話しているのを聞いて、少し悲しくなったから、って訳でもないけれど。
私が聞いているのを知らないで話したんだと思う。おばあちゃんが、おばさんに話し出した。
「二人を育てていく自信がないって言ってたよ」
当たり前だとさえ思ったから。この話を聞いたことは、誰にも言ってない。今度は、もっと悲しくなるかもしれなかったから。それに、必要もない。私がお母さんを困らせないように頑張って、三人で暮らしていけば良いと思ったから。と言っても、食事もお風呂もおばあちゃん家でしていたから、なにもしてあげられない。だから、実質三人暮らしでなく七人暮らし。
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