1488人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あの……えと、す、すいません!」
恐怖におののきながら平身低頭する唯を見て、佐伯は面倒臭そうなため息をつくと、義手の左手で首筋を揉みながら言った。
「まー……別に構わん」
「…………へ?」
肩透かしを喰らったかのように、唯は目が点になる。
「いや、あのな、他言無用とは言っても、最高クラスの機密情報ってわけでもないんだぞ。もちろん、どうでもいいって訳じゃないが――」
佐伯はそこまで話すと、いきなり盛大なくしゃみをした。
「それに俺も大佐も、途中からお前がいることに気付いていたしな」
「んなっ……!」
唯――絶句。
先ほどまでは真っ青だった顔色が、今度は赤く染まった。
「だからまあ、今回はお咎め無し。聞いてもそこまで問題があるわけじゃないからな。ま、言いふらしたりなんかはするなよな?」
首がもげそうな勢いで唯は首肯する。
最初のコメントを投稿しよう!