1488人が本棚に入れています
本棚に追加
「よいしょ……っと」
真鶸はシミュレーターの頂上から一気に飛び降りた。
あたりにいた整備員たちのねぎらいの言葉に返事を返し、ヘルメットを脱いだ。
ひんやりとした空気が、いくらか汗ばんだ肌を優しく撫でる。
後ろから足音がすると、聞き慣れた低い声が真鶸の耳に届いた。
「危ない事はするもんじゃないぞ」
「……修さん」
振り向くと、案の定、そこには熊がツナギを着たような男が立っていた。
“危ない事”とは何の事だろうと一瞬考えて、ふと思い当たる。
「だって面倒臭かったんだもん」
「飛び降りたら危ないだろう。ちゃんと梯子を立て掛けてるんだ。使ってやれ」
「むー……」
反論できず、真鶸は黙りこくってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!