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「俺も若い頃はいろいろ馬鹿をやったけどな。因果応報ってやつで、結局そのツケを払わされたもんだ」
そう言いながら、笠置はシミュレーターの側面の小さな扉の蓋を開いた。中には少なくない数のスイッチやつまみ、ボタンが並んでいる。
スイッチをいじくる笠置の背中を見ながら、真鶸は頭の後ろで手を組み合わせた。
「修さん……なんか言うことがじじくさいよ」
「そりゃそうだ、年なんだから。真鶸ちゃん、俺が言いたいのは、無駄な無茶はするなって事だ。無茶というのはする時を考えてするものなんだ」
パチパチ小気味良い音と共に、とスイッチが「入」から「切」に切り替えられていく。
「哲学だあー……」
感心したというより、げんなりした様子の真鶸の一言を聞いて、笠置は肩を揺らして笑った。
「がはは、そんな大したもんじゃないさ」
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