距離

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唐突に、肩に重みを感じた。見ると、笠置の大きな手が置かれている。 長年機械の整備に酷使され、黒ずみ薄汚れてこわばった手。 しかし、不思議と温かく……柔らかい。 「気になるか?」 何を、と聞き返そうとした矢先、次の言葉が真鶸を混乱させた。 「護の事だ」 「え? な、何で? 皐月さんの事じゃないの?」 「何を言ってるんだ……」 苦笑い混じりのため息。真鶸はなんとなく子供扱いされているような気がした。 「真鶸ちゃん、護ばかり見ていただろう」 「……なっ!?」 今度こそ、言葉が全く出てこなくなるほどに混乱した。
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