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笠置はにやりと笑うと、しみじみとした様子で語った。
「いやはや……真鶸ちゃん、案外病気かもしれないな」
「びょ、病気って! な、なに? 何なの?」
真鶸が笠置に詰め寄ると、一拍おいて答えが返ってきた。
「……恋わずらい」
真鶸――石化。
「別に咎め立てしようって訳じゃないぞ。俺も真鶸ちゃんくらいの歳には、恋の一つや二つはしてたからな。それに恋は人を強くする。だから、真鶸ちゃんも思いきって積極的になってみるといい」
腕組みをして何度もうなずく笠置は、完全に悦に入っている。
「気に病む事はないぞ。片思いだと思っていたら、実は両思いだったなんて事もざらなんだから」
真鶸の体がぷるぷると震え始めた。
「しかしまあ、若いってのはいいな。恋にも何にも一生懸命になれるんだから――」
「全っ然良くな――――い!」
真鶸の絶叫が、笠置の長口上をぶったぎった。
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