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「だからね、あたしは護の事がよく分からない」
「だから知りたいのか?」
「…………うん」
「なるほど、な」
そう言って笠置はまた頭を掻くと、いたって穏やかに語り始めた。
「正直なところ、そんな風に知ろうとしなくてもいい」
「えっ……?」
真鶸が目をぱちくりさせた。
「人っていうのはな、皆何かしら知られたくない事ってのがあるのさ。俺もそうだし、真鶸ちゃんだって多分そうだろうな。そして、そういった事まで無理に知ろうってする事はな、言わば土足で人の家に乗り込むようなもんなんだ。無粋にもほどがあるだろ」
「そ、そんな事……」
「まあ待てって」
真鶸を手で制して、笠置は続ける。
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