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小柄な体躯に似合わず、堂々と闊歩する真鶸。
対照的に、護の足取りは低調気味。
それもそのはずで、真鶸がいくつものデパートを見て回り、護はそれにことごとく付き合わされてきた。
肉体的にはまだまだ余裕があるが、精神的には少し厳しい。それに、人ごみに酔ってもいた。
またまた対照的に、真鶸の足取りはいたって軽い。鼻歌を口ずさみながら歩いていると、すれ違った通行人が時々振り返っていた。
「そろそろ――」
「ねえ、護。次はあそこに行ってみていい?」
真鶸が指差す先には、洒落た造りのデパート。
喫茶店か映画で一休みという護の案は、提案する事すらできなかった。
護の受難は、今しばらく続く――。
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