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「……ていうかさ」
ずい、と真鶸が身を乗り出す。目が剣呑な輝きを帯びていた。
「な、何……?」
「ずっと思ってたんだけど、護ってよそよそしくない?」
そうなのだろうか? 護にはそういった自覚はあまり無い。
護の内心を読み取ったのだろうか、真鶸は元の位置に戻ると、額に手を当ててため息をついた。
「最初に会った時にも言ったけど、あたしは堅苦しいのは嫌いなの。それなのに、護ってばいつも堅苦しい言葉遣いだもん」
それに、と真鶸は続ける。
「あたしの名前を呼ぼうとしないでしょ。呼ぶときだって、絶対名字だし」
「そんな……」
確かにそうだ。護は真鶸を名前で呼んだ事がない。
なぜなのかというと、特にこれといった理由はない。強いて挙げるならば、けじめだろうか。
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