8人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「クリスマスなんて嫌い」
彼女は、そう断言した。
僕は当然のように聞き返す。
「どうして?」
「秘密」
そっけない返答。つんと唇を尖らせて。
機嫌を損ねたのか、彼女は僕を見ようともせず、雑多で煌びやかな街を見つめていた。
その中に微かな憧憬が見え隠れするのは、気のせいなのか、それとも本当なのか。
ただ、それを聞いたら更に彼女の機嫌を損ねることになる事は明白だった。
だから僕は考える。彼女と同じ景色を見つめながら。
最初のコメントを投稿しよう!