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すると中には、
「おっそーい」
「…!」
学校で別れた筈のまりかが、勝手に中に入って修を待っていた。
それに対し修は少し怒り気味に尋ねるが、
「なんでいるの?」
それに対しまりかはまるで悪びれた様子も無く、半笑いで答えた。
「だってこの家、窓から鍵に手届くし」
「もう、今日は疲れたから帰って、ほらぁ!」
仕合で疲れた修により無理矢理押し返され、まりかはブーブー言いながらも渋々帰る事に。
そしてその後、すぐに修は少し休むつもりで制服のままベッドに倒れ込み、それから暫くして無意識の内に睡魔に襲われ、いつの間にか眠ってしまっていた。
目が覚めると、時刻は八時を過ぎており、
「あ、寝ちゃってた!漫才見逃した!」
楽しみにしていたテレビ番組を見逃して少し落ち込みながら、何気なくふとカバンの中を覗き込んでみると、そこで漸く携帯電話が無い事に気付いた。
「あれ?おかしいな、ポケットにも無いし何処かに落としたのかな。探しに行こ!」
修は制服から部屋着に着替えて上着だけを羽織ると、いつものように護身用の木刀を入れた袋を剣道部員のようにして背負い、すぐに学校からの帰り道をゆっくり探してみる事にした。
それから足元を注意深くキョロキョロと見回しながら歩を進めるが、携帯は一向に見つからず、遂には学校にまで辿り着いてしまった。
「あれ~?困ったなぁ…」
仕方ない、戻ろう…そう思いながら修は来た道を引き返し、また同じように足元を注意深く探っていると、
「あ、何か光った!」
着信履歴から緑色に点滅する小さい光を頼りに漸く携帯を見付け、すかさず修はその光に駆け寄ろうとした時、ふと背中に違和感を感じた。
「後ろに誰かいる…?」
無意識の内に何かを感じてしまった修は不意に嫌な予感がし、見付けた携帯を拾い上げるとすぐに学校の中に逃げ込むように走り出す。
そして、後ろに感じた気配が追ってくるのを感じると、無意識の内に持っていた木刀を両手で強く握り締めながら、修は深々と構えていた。
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