転機

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転機

そんな僕に転機が訪れた。ある日歩いていると一匹のノラネコを見つけた。珍しく人なつっこいねこだ。僕は足元に体をすりよせて来た。その姿になぜか自分が重なった。ともに孤独に生きる者だった。猫はずっと僕についてきた。しかし僕は猫を飼えないのでその場をあとにした。あの猫の孤独でも生きていく意志に自分を重ね自分も生きていける。そんな気分になった。気休めだが気は楽になった。初めて君を忘れることが出来た。そのころにはもう君の温もりも冷めていた。君の温もりよりあの猫の強さのほうが僕に安らぎを与えてくれる。
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