旅立ち~天~

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その時猫の鳴き声がした。あの猫の鳴き声だ。僕はフラフラしながらもその声がするほうへ歩いた。歩いても歩いても猫の鳴き声は遠い。涙を流しながら必死に歩いた。何度も転び、足はズタズタだった。ただ猫の元へ…必死だった。その時トラックの重量音とブレーキのけたたましい音が辺りに響いた。そして僕の体は浮かんでいった。解き放たれた。一点の苦しみのない世界だった。その時僕の耳もとで猫の鳴き声がした。その鳴き声はとても優しかった…
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