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カーソルはピクリとも動かない。
やっぱり何も居ないのか?
「こっくりさん、こっくりさん。いらっしゃいましたら“はい”のところへお進み下さい。」
怪訝に思いつつ、もう一度言った。
「…………ん!?」
俺がマウスを動かしていないのに、画面上の十円玉は勝手に動き始めた。
最初から行き先が決まってるように滑らかに進んだそれは、“はい”を指して止まった。
刹那、背中に寒気を感じた。
「こ……こっくりさん、こっくりさん。一度鳥居までお戻り下さい。」
これ以上続けていいのだろうか――そんな想いが胸を掠めた。
少しして、カーソルがゆっくりとゆっくりと、鳥居に戻った。
「……よし」
何となく小さな達成感が生まれ、ガッツポーズをした。
後は適当に質問をすればいいのだが、
「……どうするかな」
どんなことを質問しようか決めていない。
そういえば、駿は何を質問しているのだろう。
耳元に繋いだままの携帯を当ててみた。
『こっくりさん、こっくりさん。優は僕の事をどう思ってますかっ? なんてねっ、きゃー!』
「…………」
思わず絶句。
お前は恋する乙女かっ! っていうか、そんな質問にこっくりさんが答えられる訳ないだろ!
『ええっ、本当! 嬉しいなぁ、優が僕の事そんな風に……』
待て!!
こっくりさん答えたのか!
なんて答えたんだよ!
「駿!」
『んぁ?』
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