第三章 実行

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「お前、何てこと質問してんだよ!」 『あれ、聞こえてたぁ? 照れるぅー』  照れるな! 俺にそっちの気はない! 「なんか……もういい」  駿のマイペースぶりを聞いていたら怒り恐怖もも吹っ飛んだ。  さて、結局何を質問しようか……うーん、試しに一つ質問してみるか。 「こっくりさん、こっくりさん。あなたはこっくりさんですか?」  我ながら変な質問だが、十円玉はすぐに“はい”へ行って、続けて鳥居へ戻った。 「……すごいな」  いつの間にか、恐怖心は消えていた。  それどころか、もっと質問してみたいと思った。 「こっくりさん、こっくりさん。明日の天気は何ですか?」  早速カーソルが動き出す。 “く”    “も”       “り”  ――“曇り”  ……じゃあ傘はいらないな。  俺はいつの間にか、こっくりさんの言うことを信じていた。  明日雨が降るかも、なんて思わなくなっていた。  俺はもう、一人こっくりさんという呪いに、はまってしまっていた。  
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