第一章 誘い

4/4
2283人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
『じゃあ、今夜メールするからねっ!』 「おい、待て!」  さも当たり前のように言って立ち去ろうとする駿を、俺は慌てて呼び止めた。 『んぁ?』  駿は間抜けな声を出して振り向いた。 「俺は“やる”なんて一言も言ってないぞ?」  怖い訳ではないが、面倒臭い。 『え、一緒にやってくれないの……?』  そ、そんな上目遣いで俺を見るな! 『ねぇ……しよ?』  駿が俺に近寄る。  瞳をうるうるさせるな!  女顔のお前がやるとシャレにならないんだよ! 『あれぇ? 優、顔赤いよー?』  くそっ……! 「分かったよ、やればいいんだろ! そのサイトどこなんだよ!」  もうヤケだ。  ああ、俺って……。 『やったー! ありがと優、大好き!! サイト送るねっ!』  駿は飛び跳ねて歓喜の声をあげた。  全く、調子のいい奴だ……。  そうしてその後、メールでサイトのアドレスを送ってもらった。  このサイトを見つけるのには、なかなか苦労したらしい。  なんでそこまでしてやりたいと思うのか、俺にはさっぱり分からないが。  
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!