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「おい、何してんの?」
そこに都合よく大山大樹がやって来て、女の子達は、口々に言い訳をしながら走り去っていった。
「大丈夫?」
大山大樹が私の鞄を拾って差し出した。
「うん」
「あのさ」
「ん?」
「なんで言い返さなかったの?」
「へ?」
「だから、アイツラにボロクソ言われたのに何で何も言わなかったの?」
大山大樹は、何故か怒っていた。
「だ、だって、その通りだし…」
「違う!あきらは地味でもないし可愛いし美人だ!何で言い返さないんだよ!あきらが俺に似合わないんじゃない!俺があきらに似合わないんだ!それでも俺はあきらと一緒にいたいし、誰にも何も言われたくない!あきらは…あきらはそうじゃないのかよ…」
大山大樹は、大きな瞳をウルウルとさせていた。
私は、笑っちゃいけないと分かっていたのだが、あまりにも大山大樹とチワワがかぶって、堪えられずに笑ってしまった。
「ちょ、なんで笑うんだよ!」
「だって、だってチワワみたいで…っ」
私は、笑いながら泣いた。夢の中の私の彼氏が、あまりにも私を思ってくれてるから。人を愛することに必死だから。現実では絶対に有り得ないこの夢(現実)が、嬉しくて涙が溢れていた。
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