放課後デート

3/6
前へ
/32ページ
次へ
「おい、何してんの?」   そこに都合よく大山大樹がやって来て、女の子達は、口々に言い訳をしながら走り去っていった。   「大丈夫?」   大山大樹が私の鞄を拾って差し出した。   「うん」 「あのさ」 「ん?」 「なんで言い返さなかったの?」 「へ?」 「だから、アイツラにボロクソ言われたのに何で何も言わなかったの?」   大山大樹は、何故か怒っていた。   「だ、だって、その通りだし…」 「違う!あきらは地味でもないし可愛いし美人だ!何で言い返さないんだよ!あきらが俺に似合わないんじゃない!俺があきらに似合わないんだ!それでも俺はあきらと一緒にいたいし、誰にも何も言われたくない!あきらは…あきらはそうじゃないのかよ…」   大山大樹は、大きな瞳をウルウルとさせていた。 私は、笑っちゃいけないと分かっていたのだが、あまりにも大山大樹とチワワがかぶって、堪えられずに笑ってしまった。   「ちょ、なんで笑うんだよ!」 「だって、だってチワワみたいで…っ」   私は、笑いながら泣いた。夢の中の私の彼氏が、あまりにも私を思ってくれてるから。人を愛することに必死だから。現実では絶対に有り得ないこの夢(現実)が、嬉しくて涙が溢れていた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加