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「え、な、何で泣いてるの?」
大山大樹がオロオロとしているから、私は涙をぬぐって
「笑いすぎた…っ、あははっ」
と誤魔化した。大山大樹は安堵したような表情を浮かべて私の頭を小突いた。
「そんなに笑うな、バカ」
私は、うん、うん、と頷きながらまた泣いた。
とりあえず、一頻り笑って、一頻り泣いたところで、大山大樹が
「デートしよう!」
と私の手を掴むと走り出した。
「ま、待って待って!」
子犬のように駆け回る大山大樹が眩しかった。
暫く走って、街に来た。人混みの中で、大山大樹はやっと止まった。
たくさんの人が私たちを避けながら通っていく。色んなカップル達が通りすぎた。
私は、腕を組んで通りすぎたカップルを見送った。すると、大山大樹が、私に腕を差し出した。
私はクスクスと笑いながらその腕に手をまわした。
私たちは、まだまだ未熟なカップルで、周りのカップルを気にしながら、それを真似るように過ごした。
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