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「さっきさ、」
大山大樹が口を開く。
「俺、プレゼント用意してないって言ったけどさ、本当は…」
そう言って、コートの内ポケットから小さな箱を取り出した。
「告白する前から…用意してた」
大山大樹は白い息をゆっくり吐いて、箱から指輪を取り出すと、私の左の薬指にはめた。
「これからも、ずっと側にいて…欲しい」
大山大樹は、顔を腕で隠しながら、やっぱり顔を真っ赤にしていた。
「大樹…」
私は初めて大山大樹を大樹と呼び、その胸に飛び込んで抱き締める。
「大樹が好きだよ…嘘なんかじゃない、サンタも神様も関係ない、私は大樹が好きだよ…」
大樹の腕が、私を抱き返す。私は大樹を見上げ、大樹は私を見つめ、ゆっくりとその距離をつめた。
今度のキスは、冷たかった。ふと空を見上げると、雪が降っていた。私と大樹の唇の間に雪が割り込んできたのだ。
だが、すぐに溶けて、私と大樹は触れあった。
「私、大樹のためにマフラー編むね!」
「うん、楽しみに待ってる」
二人で笑いあったけど、マフラーを渡すことなんてできるの?
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