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「あきら、早くしないと先に行くよ?」
「待ってよ!すぐに行くから!」
私は急いで外に出る。だが、そこに大樹の姿はなかった。
「待ってって言ったのに…」
すると、隣の家から大樹が出てきて、
「バーカ」
と笑った。
「なんなのよ!」
私は大樹と並んで歩いた。
急いできたからマフラーも何もない。すると、大樹が
「あきらはすぐ風邪ひくから貸してやるよ!」
そう言って鼻をすすった。
だけど、大樹は私と手を繋いではくれない。大樹と私は姉弟で、恋人ではないのだ。
私は、手を擦りながら大樹の隣を歩いた。
私は、大樹にサヨナラと口に出さずに呟くと、
「あんたが急かすから手袋持って来なかったんだから貸しなさいよ!」
そう言って私は手袋を奪った。
「じゃあ、俺は手を繋がせて貰うからいいや」
「え?」
大樹は私の手を繋いでニコリと笑うと、私の手をひいて走りだした。
end
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