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「は?」
男の子が怪訝な顔をする。私は、心を落ち着けたはずなのに、発した言葉は記憶喪失者の定型文を語っていたのだ。
「え、えと、その…」
私は、また頭が混乱してきて何と言えばいいかわからなくっていると、
「お前は冬木瞳(ふゆきあきら)、俺は幼なじみの大山大樹(おおやまたいき)、ついでに言うと彼氏だろ?」
「そうだよね、私は冬木瞳で、君は大山大樹、私の彼…しぃぃいい!?」
私は、落ち着きを取り戻しかけていた頭を再び混乱させる。
私は冬木瞳、彼氏いない歴17年の正真正銘の処女…、だよね?どうなってるの?
もしかして…もしかしなくてもサンタ…さん?
私は、疑わしげに大山大樹を上から下まで見回した。
白い肌、黒いミディアムショートの髪、女の子にも見える容姿。
正しく私の好みのタイプだ。
グッジョブ、サンタ
私は心の中でガッツポーズをとっていた。すると、
「あきら、」
大山大樹が私の名前を呼ぶ。
さっきも呼ばれたわけだが、彼氏って意識してから呼ばれると緊張する。
「な、何?」
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