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私が落ち込んでいると、
「クスクス」
笑い声が聞こえて、隣の家から大山大樹が出てきた。
「な、な、あんた!」
「ごめん、ごめん、あー、さっきのあきらの顔傑作」
私は、顔を真っ赤にしてそっぽをむいた。すると、
「可愛すぎて傑作」
と笑うから、私はもっと顔を真っ赤にしてしまった。
「じゃあ、行くか」
「う、うん」
私は、先を歩く大山大樹の後ろにトコトコとついていった。
「クシュン」
大山大樹に追いついたところで、私は何の前触れもなくクシャミをした。いや、クシャミに前触れも何もないかと思いながら、急いでいたために手袋もマフラーもコートも、何もつけてなかったことに気づいて身震いをする。すると、首をフワッと何かが包んだ。
「え?」
「貸してやるよ、お前昔からすぐ風邪ひいてたからな」
大山大樹は鼻をすすりながら、私にマフラーを貸してくれた。
私は、実際昔から風邪をひきやすい質なのだ。夢の中の彼氏でも、幼なじみだからそのくらいのこと知ってるんだなと思いながら、私は、大山大樹のマフラーを首にまきつけた。
そして大山大樹の方を見て
「えへへ」
と笑った。
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