第一章 歩き始めた僕

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でも、僕には困った癖があった。みんなは、公園の砂場の中や、遊具に興味を示し遊んでいたのに、僕は、そういったものには、心を動かされなかった。 あの時は、同じ年ぐらいの子たちの声が耳障りだった。自分と同じぐらいの背丈の子供は、急にあらぬ方向に動き出す。僕は、それが怖くてたまらなかった。でも、公園は、心地良かった。みんなの中に入る気はなかったが、外の香りは心地よかったから、公園の縁に沿って歩くことを繰り返していた。 母さんは、そんな僕を見つめながら、一緒に歩いてくれていた。 今、母さんは、笑いながら、その様子を話してはいるが、その時は、疲れたことだろう。歩き始めると、一時間は平気で歩き回っていたのだから。
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