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『希と居られることはすごく嬉しかった。
でも悲しくもあった。お互いに本当はもっと幸せに生きてほしかったし、反対にもう生きてはいない事も再確認したから。』
亜希は僕を見つめて
『辛かったね。』
そう言って僕の頭を撫でた。
亜希の手は温かくて
ひどく、優しかった。
冷たかった彼女の手より
僕の体温は下がってしまった。
亜希に気付かれないようにと窓の縁に降りたら
持ち上げられて腕の中に収められた。
少し驚いて見上げると
亜希が微笑んでいた。
『体、さっきより冷たい。』
もうバレてた。
でも、この異変が意味する事までは
気付かれないように。
亜希は優しいから
きっと泣いてしまう。
僕は少し早口で話を続けた。
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