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嵐が何かを言いかけた、その時。
ダダダダダダッと物凄い足音を立て、砂煙を巻き上げながら走ってくる人影が…そのまま綺麗に、そして見事に十夜に突っ込んできた。
ガシャーンッ
「…ッてぇ…」
「…いてて…!!マジごめん!!大丈夫か?!ちょっと急いでて…」
そう言いながら赤毛の少年は、急いで十夜の上から降りた。
その勢いのまま、高速で十夜に頭を下げる。
「はははっ!!」
「な?!嵐!!てめぇ笑ってんじゃねぇよ!!」
「あー…ごめん、マジ大丈夫か??」
そう言い、赤毛の少年は十夜に手を差し出した。
「ホント…ごめんな~」
十夜(トウヤ)に見事なタックルをかまし、砂煙を巻き上げながら倒れこんできたこの…赤毛の小柄な少年。
「うん、大丈夫…お前は??」
十夜は相手の差し出した手を取り、立ち上がる。
「え?いや、俺は大丈夫。」
「ほんで…お前は誰やねん、チビっこ」
嵐(アラシ)は赤毛の少年を見下ろしながら言う。
「誰がチビっこだ!!俺の名前は安堂 紅夜(アンドウ コウヤ)だ!!その軽そうな頭にしっかり叩き込んどけ、このボケ!!」
…毒舌。
赤毛の毒舌少年紅夜は嵐を見上げながら、物凄い形相で睨みつけた。
その気まずい空気が流れた時だった、
学園からチャイムが鳴ったのは。
「「「ゲ!!」」」
三人はそう声を上げると、特に合わせたわけでもなく揃って駆け出した。
「これより試験受付を開始します…これより…」
チャイムの後にアナウンスが流れる。
「運命の鐘と共に、物語は動きだす…か。」
この先の物語の行方を知るのは、この時はまだ誰もいなかった…
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