第二章

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改札を抜けて外を見ると、雨が降っていた。 (雨、か) おかしいな。予報では一日晴れだった気がするけど。 所詮は予報か。あの天気予報士はよく外す事で有名だし。 鞄を漁り、折りたたみ傘を取り出す。 (備えあれば憂い無し、ってね) 足を止めている人を尻目に、僕は駅の外に出た。 少しひんやりした空気。 傘を跳ねる雫の音。 こういうのも悪くない。 少し大きめの傘も、鞄までガード出来るから、使い心地がよかった。 (秋の冷たい雨に打たれて帰るのは、正直勇気がいるからな) こういう時、自分の用意のよさに感心する。 少し歩くと横断歩道にぶつかった。駅前の大通りに敷かれた横断歩道。信号は赤に変わっていた。 ここの信号は、待ち時間が長い事で有名だ。 (やれやれ、ついてない) 愚痴っても仕方ないので、待つ事にする。 「はぁ、ついてない……」 隣からため息。 見ると女の子が一人、信号を睨みつけていた。 年齢は僕と同じくらい。制服はうちのとは違うけど、高校生である事は間違いなさそうだ。 傘を持っていないところを見ると、おそらく忘れてきたのだろう。 (かわいそうに……) 冷たい雨に打たれている姿を見ているのは心が痛む。 信号待ちの間だけでもいいだろう。                               
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