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改札を抜けて外を見ると、雨が降っていた。
(雨、か)
おかしいな。予報では一日晴れだった気がするけど。
所詮は予報か。あの天気予報士はよく外す事で有名だし。
鞄を漁り、折りたたみ傘を取り出す。
(備えあれば憂い無し、ってね)
足を止めている人を尻目に、僕は駅の外に出た。
少しひんやりした空気。
傘を跳ねる雫の音。
こういうのも悪くない。
少し大きめの傘も、鞄までガード出来るから、使い心地がよかった。
(秋の冷たい雨に打たれて帰るのは、正直勇気がいるからな)
こういう時、自分の用意のよさに感心する。
少し歩くと横断歩道にぶつかった。駅前の大通りに敷かれた横断歩道。信号は赤に変わっていた。
ここの信号は、待ち時間が長い事で有名だ。
(やれやれ、ついてない)
愚痴っても仕方ないので、待つ事にする。
「はぁ、ついてない……」
隣からため息。
見ると女の子が一人、信号を睨みつけていた。
年齢は僕と同じくらい。制服はうちのとは違うけど、高校生である事は間違いなさそうだ。
傘を持っていないところを見ると、おそらく忘れてきたのだろう。
(かわいそうに……)
冷たい雨に打たれている姿を見ているのは心が痛む。
信号待ちの間だけでもいいだろう。
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