きみがくれたもの

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「由希!!」 その言葉が、その声があたしの心を激しく揺さぶる。 目の前にはあなたがいた。 呼吸が荒く肩を大きく上下させあなたはじっとあたしを見てくる。 泣きじゃくったあたしの目に優しく触れ 「おめでとう」 その一言が何よりもうれしかったよ。 「…いいの?」 「俺の子供産んでくれ!」 あなたの無邪気な笑顔がうれしくて優しくて愛しくて… 「ありがと…」 「おいおい、泣くなよ」 「あんたが泣かしたんでしょ!」 この涙はさっきの涙とは違う。 比べものにならないほどの暖かな涙。 そんなあたしをあなたはずっと抱きしめてくれた。 頭を撫でてくれた。 ずっとずっと、側にいてくれた。 本当に…ありがと。
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