きみがくれたもの

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そんな時、一本の電話が入った。彼のお母さんから。 あたしは言われた通り病院に向かった。 そして、彼に会った。 冷たくなった彼に。 彼は交通事故で死んだ。 イブの日に。 あたしは彼の冷たい手を握って… 泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いた。 泣くしかできなかったから。 "春也"というあなたの名前を叫び続けるしかできなかったから。 そして、あなたの鞄から出てきた婚約指輪。 携帯には打ち掛けのメール。 『実は、今ね…』 それを送って、すぐにあたしの家に来て驚かそうとしたんだよね? きっと、うつときニヤついてただろうな。 すぐ顔に出ちゃうもんね。 最後まで、ばればれなんだから。 ほんと、あなたはばかなんだから…。
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