きみがくれたもの

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出会ったあの日もこんな雪が降ってたね。 ──五年前── 「えーー!天気予報じゃ雪なんて言ってなかったじゃん!」 地面もうっすら白い絨毯がひかれ、吐く息も真っ白。 しかたなく走って帰ることにした。 この時はまだ気づかなかったね。 すぐそばまであなたが来ていたことに… 顔をかがめできるだけ小さくなりながら走る。 「もう!なんでこんなに人が多いのよ!」 周りを見ればサラリーマン風の男達やカップルがいる。 「って、カップル多くない!」 無性にむかっぱらが立つ。 信号機に引っかかりようやく今日が何の日か理解する。 「そっか。今日はクリスマスイブか…」 目の前にそびえ立つ大きなビルの光がクリスマスツリーをかたちどっている。 「はぁ~…」 自然とため息が出る。 あんなの1人で見たらへこむだけじゃん! 何かを振り切るようにまた走り始める。
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