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あのあと俺達は何事もなかったかのように別れ、互いに帰路にたった。
別れる瞬間、帝が何故か『蘇芳 緋月』と俺のフルネームを呟いていたが……まぁ得に意味もないだろう。
そして
そんなことがあった翌日から、俺達は共にいることが増えた。
別に付き合いはじめたわけでもなく、あれからお互いを求めたこともない……。
ただ共にいるだけ……それが妙に心地よかった。
朝会えば挨拶を交わし、休み時間になれば一言二言だが会話を交わすこともある。
そのうち昼食までもを共に食べるようになると、流石に周りの奴らも驚きを隠せないようだった。
今まで誰ともつるんだことのない俺と、普段は誰も寄せ付けないといった雰囲気を醸し出している帝……。
そんな二人が急につるむようになったのだから、まぁ驚くのも無理はないだろうな。
だが
共にいる時間が日に日に長くなるにつれて、周りも見慣れてきたのか視線を感じることも少なくなり、俺は帝の隣にいるのが当たり前といったようになった。
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