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それから何度か行為を繰り返した後、受け入れるのには慣れていないのもあり疲れ果てたのか、帝は意識を失った。
スースーと気持ち良さそうに寝息をたてるその姿は、随分とあどけなく無防備なもので……
「……んっ……」
髪をやんわりと撫でると、帝は僅かに微笑んで身じろいだ。
そんな様子に俺は思わずフッと笑ったが、同時に、どこかあやふやな自分に腹がたった。
俺はまだ……伝えていない思いがある。
ようやくわかった、帝に対する自分の気持ち……
たった一言だというのに、それを伝える事が出来ない。
伝えてしまえば……この二ヶ月のうちに築いてきたものが、崩れ落ちてしまうような……そんな気がした。
俺は横たわる帝をまたぐように両手をつき、顔を覗き込むように近づく。
寝ている今なら……
そんな思いが頭を支配し、そっと……消え失せそうなほど小さな声で……呟いた。
「…………好きだ」
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