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「好きなんだろ!?俺のこと……。
っならさっさと言ったらいいじゃないか!!」
視線を逸らすこともなく、帝はずばりと言い切る。
だが
僅かに帝の瞳が揺らぐと同時に、俺の頬を挟んでいた両手が離れた。
「……帝……?」
「そうじゃないと、俺だって不安になるんだよ…………俺だけがこんなに惹かれてるだけなのかって……っ俺だけがこんなに緋月のことが好きなのかって……」
ポツポツと言葉を零すその姿には、いつものプライドの高さも見られない。
あぁ……俺は間違っていたのか……
俺は、俺だけがこんな気持ちなのだと、自分の都合のいいように逃げていた……
だが、気持ちは帝も同じだったのだ。
そう知った途端、また愛しさがあふれる。
無性に、抱きしめたくなった……
「帝……」
ギュッ
我武者羅に抱き寄せれば、俺より小さなその身体は腕の中にすっぽりと収まる。
「好きだ……好きなんだ、帝」
そしてそのまま耳元で囁けば、背に回された帝の手には、キュッと力がこもった。
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