風紀委員長様の追憶‡後‡

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「やっぱりここにいた」 「式は?」 「そんなのもう終ったよ。 ……ずっと寝てたの?目が赤い……」 帝は俺を見上げながら言うと、俺の目尻に指をはわせる。 それが少しこそばゆく、俺は目を細め、その手をとった。 「寝るつもりはなかったんだがな……」 「つもりはなくても、寝てたんなら一緒じゃないか」 「……フッ……それもそうだ」 僅かに呆れた様子の帝。 それに対し、俺が呑気に微笑を浮かべると、帝は諦めたように『はぁ……』とため息をつく。 そうして次に見せるのは、俺だけが知るあの笑顔…… 「ちょうど今日だったね……俺達が初めて会ったの」 その笑顔で切り出した話は、俺がさっき考えていたことと、同じものだった。 .
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