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「梓………今のは……。」
日向は、梓がそれを口にする前に切り出そうとした。
だが
「ありがとう、日向(ニコッ)」
梓が発したのは身構えていたものではなく、純粋にお礼の言葉であった。
「いっいや、別に構わない。
(聞こえては………いなかったのか………?)」
そんな予想外な梓の言葉に日向は少し驚き、もしやという考えを抱いた。
すると
「あっ、そうだ!!」
梓は不意に思い出したかのようにそういうと…
「あの人達を追い払うためとはいえ、あんなこと言わせてごめんね…。」
今度は的外れな謝罪の言葉を口にした。
日向は、つい自分も気付かないような心の奥底の言葉を口にしてしまったのであるが、梓は、平和に事態を収めるための言葉であると思っていたのであった。
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