620人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
「凄い綺麗……………そっか、だから4時50分だったんだね。」
「………梓?」
外の風景をジッと見つめながら呟いた梓に、日向はそっと視線を向けた。
「確か、ライトアップって5時にするんだよ。
この観覧車は一周20分だから、1番上までは10分かかるでしょ?
だから、4時50分に乗ればピッタリ真上の時にライトアップする………。」
「………………………フッ、なるほどな。」
梓はそう言葉を紡ぎながらも、ずっと外を眺め続けていた。
口元にふわりと笑みを作りながら目を輝かせているその顔はとても美しく見え、そんな梓の姿に日向は見入りながらも優しく笑うと、小さく返事を返した。
そして
日向はまた外へと視線を移し…
「………。
(梓があんな顔をするとは…………あの男に少し、感謝しなくてはな………。)」
…安らかな顔でイルミネーションをボーっと見つめるのであった。
.
最初のコメントを投稿しよう!