風紀委員長様の追憶‡前‡

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パチパチパチ… 俺が木の上で目を覚ました時、体育館からはちょうど盛大な拍手が響きだした。 今日は、午前である今は新入生を迎える為の入学式、そして午後からは新たな一年間を迎える為の始業式……そう、俺達3年にとって、学園で過ごす最後の1年の始まりの日…。 生徒会は参加が必須であるこの式に、本当は風紀委員長である俺も出席せねばならなかったがあまりにも面倒だった為、『後で帝に何か言われるだろうな』と思いつつも、サボってこの体育館裏の木の上で俺は時を過ごしていた。 …それにしても、あの拍手の盛大さと時折聞こえる歓声からすると、生徒会長兼理事長である帝の話が始まったのだろう。 再び目を閉じて耳を澄ませば、ほんのりではあるが、あの凛と透った帝の声が心地よく響いてくる。 ―そういえば、俺があいつを初めて見たのも入学式(この日)だったな……。 俺はそんな帝の声を聞きながら、ふと2年前のことを思い出した。 .
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