風紀委員長様の追憶‡前‡

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式の前 ふと気が付けば、生徒達の誰もが、人だかりの中心にいる1人の外部生をザワザワと騒ぎ、食い入るように見つめていた。 その五月蝿さに、俺は少しばかり苛立ちを感じながら、何かと思いその中心へと目を向けた。 すると そこにいたのは、騒ぐのも無理はないと思わせられるような者だった。 それは、滝のように流れる漆黒の長髪に、綺麗過ぎる中性的な容貌を携えた青年……あいつだった。 綺麗といっても女顔というわけではなく、可愛いよりもただただ美しいという言葉のほうがずっと似合うだろう。 外部というだけでただでさえ珍しいというのに加え、あいつのその容姿は周りの興味をひくのに十分すぎるほど事足りていた。 それが、俺が初めてあいつを見た時だった。 .
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